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DIAMOND☆DOGSを見つめる日々の雑記帳

TSミュージカル「眠れぬ雪獅子」感想

TSミュージカル「眠れぬ雪獅子」見てきました。 10月21日から世田谷パブリックシアターから公演し、10月22日、23日、29日、30日の東京楽と計4公演。

感想は、端的に言って本当に良かったです。久々によいミュージカルに出会えました。

最近どうしても出演者目当てで観劇することが多かったので、内容的に不満が残ったり、脚本や演出の甘さを演者の力でカバーしているような作品が多かったので、本当に脚本・演出・音楽・照明・セット・小道具・衣装・歌・ダンスと幾つもの柱で構成された作品に本当に感激した!

まぁ、今回もリーダーこと東山義久さんが主演を務めるということで見に行ったのだけれども。

正直仏教を軸とした話で、簡単な内容ではないし、私自身4回目にしてなんだか妙に理解が深まったというか、視野が広がったというか。

おかげで千秋楽は2幕ずーっと泣きっぱなしでした。。。

 

TSミュージカルは初めて観たのだけれど、2ヶ月間のリハーサル期間は伊達ではない!と感じました。

そして、謝先生ってどれだけすごい人なのだろうと・・・。

終演後にロビーに立ってくださったり、楽では劇場の一番後ろに座っていて、最後彼方と小林さんに抱っこされてステージ上に連行されていく姿が印象に残ってしまいましたが(笑)

 

東京楽から1日たった今も本当に気分が高揚したままというか、ふと気付くと頭の中で雪獅子の音楽が流れてるくらいに心に残る作品だったので、その興奮を落ち着けるためにも今回はちゃんと日記に残そうと思います。

多分長くなるので記事たたみます。

あらすじとかも書いちゃうくらい、本当に気に入ったの!すっごく素敵だったの!

当然ネタバレなのでご了承ください。

 

 

------ あらすじ ------ 西暦843年。古代チベットの王ラン・ダルマは仏教を禁じ、仏像や経典は破壊焼却され、僧も還俗もしくは殺害されていた。 それを嘆いた仏僧ラルン・ペルギ・ドルジェ(小西遼生)は、仏陀の教えとの矛盾に苦しみつつ、王に近づくため「黒い帽子の踊り」の踊り手に紛れ、ラン。ダルマを暗殺する。しかし、暗殺成功と引き換えにラルンは自らの眠り=平穏を殺し、自分の行いを正義と讃え歴史に残そうとした唯一の肉親である弟ペマ(山田ジルソン)を失う。 ペマ自身は言葉の無力さを思い知り、暗殺者として輪廻を彷徨うこととなり、弟を救うため、ラルンも輪廻の海へと泳ぎだす。 千年の時が流れ、領主ワンドゥの荘園内の村に旅芸人一座がやってくる。

一座はラン・ダルマの暗殺劇を「黒い帽子の踊り」を交え、ユーモラスに再現し、悪税に苦しむ村人の心を笑顔にするテンジン(東山義久)らである。 しかし、そこへ暴君ワンドゥに父親を虐殺され、復讐を誓う男ドルジェ(伊礼彼方)が現れ、仏陀の教えを正義の心で救った英雄ラルン・ペルギ・ドルジェを茶化し笑いを取る芸人達に激昂する。 千年の時を越え、宿運の出会い果たした二人が、繰り返される血塗られた輪廻の鎖に立ち向かう。命と心の鎖の果てに希望の道筋は甦るのか? そして笑顔を奪われた故郷の運命は・・・・・・。

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まず、びっくりしたのがセット。傾斜が着いている八百屋舞台になっていて、そのおかげで奥行きがぐっと増す上に、非常に見やすい。パブリックシアター自体、割と後方や2階、3階席でも見やすい造りになっているところに傾斜がついているので、奥までよく見える。 その分そこで踊って跳ね回る出演者は大変だったと思うけど・・・。

小道具、って言っていいのかな。芸人一座をはじめ、いろんな雑技や楽器が出てきて、世界観を盛り上げているんだけど、それも本当に面白かった! ディアボロ(中国ゴマ)とか ポイとか

鞭で使われるロープ?ゴム?もすごかったし!もう動きがすっごく綺麗なの!

こうちゃん、小林さん、上口くんが引いているダミネンという楽器も、実際マイクがつけられていて本当に演奏していると知ってびっくりしました。 芝居や歌、ダンスだけでなくそんなところまで練習しているのかと!いくら2ヶ月あるっていったって・・・いやもう本当にびっくり。

でも細かなところまで、キャスト・スタッフの息が合っていることを感じさせてくれて、観ていて変なハラハラ感が無いのも、この難しい世界観に浸るには良かったです。

あと、リーダーファンとしては! もう、あれっだけ歌って踊って愛嬌のある笑顔を見せてくれるテンジンが眩しくて眩しくて・・・!!!!!!!!!! ロイエンタールの様な静かで理知的でっていう役も素敵だけれど、テンジンのようにまわりを笑顔にする明るい役も本当に似合う!

テンジンはラルンの生まれ変わりということもあるし、幼いころに寺の前に捨てられた孤児であった過去、旅芸人という帰る家の無い寂しさ(そんなの微塵も感じさせないんだけど)も相まって、すごく自愛に満ちた雰囲気や仕草をするんだよね。 ペマやドルジェと違って、言葉じゃなくて表情や声色、接し方(肩に触れたり、頭をなでたり)で伝えるの。

それをリーダーがやってるだけでもう・・・!! ただでさえ色気ある人がそんなかわいい事してくれて!ちょっと発狂するかと思った←

涙するリーダーほど美しいものはこの世に無いと思うしね。 千秋楽の終盤、後ろを向いた瞬間にそっと涙を袖口で拭ってて、本っ当にかわいかった・・・!!!!!!

リーダーってどんな役をやっていても立ち居振る舞いや話し方から品性や知性を感じさせる気がするのは私だけかな。 “育ちがいい”っていうんじゃなく、生きてきた経験の中で身につけてきたというか・・・うーん、うまく言えないのだけど。 理知的な客観性があるっていのかな。どんなに激しいダンスや美しい繊細な動きをしていても、どこか一歩引いてリーダー自身、果てはステージ全体を見ているようなそんな感じ。 だからって冷めているってわけじゃなく、だからこそ頭のてっぺんからつめの先までスーッと美しい表現ができているのかなって。 あくまで私論だけど。 だからこそ、Dメンバーとかとわー!って盛り上がってる姿もまた好きになっちゃう。

あと、前楽・楽と、彼方の台詞がわりと転びがちだったんだけど、なんかそれもテンジンと対比してて良かったよう思えたなぁ。 暗殺者となる決意を固めるも、どこか迷いや戸惑いが心に残るドルジェと、流れるように話すラルンとしての生を汲むテンジンって感じで。 もちろん、台詞が転んでも意志を感じる彼方の芝居の賜物だけれど。

千秋楽のあいさつでワンドゥ役の今井さんも仰っていましたが、台詞や歌詞のあちこちに、教わることやぐっとくる言葉が散りばめられていて、本当に仏陀の教えを説かれているような、そんな気分になりました。

「この世界の歴史は名も無い民衆のまるで泡沫のような努力と信念によって築かれている」 「目の前に落ちている塵を拾うだけで善行が詰める だけどそんなことも出来ないのが人間」 「未来が幸福だと信じれば人は寝て暮らす 未来が不幸だと信じれば人々は努力もせずにあきらめるだけ」

どれもそのとおりで、胸にぐっと刺さるものばかり。 でも、変に押し付けがましさが無く心に入ってくるのが、エンターテイメントの力だなぁと。

輪廻転生がテーマのひとつになっているこの作品。 輪廻転生とは仏教の基本的な思想のひとつで、全ての生き物は前世での行いを背負いながら、輪廻の輪の中で生まれ変わりを繰り返すこと。 ラルン → テンジン、ペマ → ドルジェ という流れが、演出的にも、芝居的にもよく伝わってくるし、ラルンとペマ、テンジンとドルジェそれぞれの関係性もすごく良かった。 ドルジェをかばって死んでしまったテンジンが舞い踊るシーンで、上手から出てきたドルジェと目を合わせて笑いあう瞬間とか2人とも本当にいい顔してるんだもの・・・!! 息を引き取るときのテンジンの「いつか一緒に旅をしよう」という言葉。 約束通り、本当にドルジェも一座に加わって旅をしてほしいなと思ったけど、パンフを読むと、仏教の説く輪廻転生は「もう二度とふたたび生命として生まれ変わらないことを主題として、仏となること」が目的なんですね。 テンジンは、今生の命を終えて、仏になったのか。それともまだ、何千年何万年という輪廻の海へとまた旅立ったのか。 仏陀の教えに沿えば、生命としての旅を終え仏となることが幸福なのかもしれないけれど、もし出来るのなら、苦しみがあるとわかっていながらもまた輪廻の海へと泳ぎだし、いつかドルジェとの邂逅を果たして、そして人としての生命を、旅をしてほしいなと思ってしまうのはエゴですかね。

でももう一度、彼らが笑いあう姿が見たいんだ。

東京公演は10月29日で終わってしまったけれど、あと富山・兵庫公演も怪我なく無事に終わることを願います。なんたって長丁場だからね!

あとは本当にDVD化されることを祈るばかり。カメラが入ってたという話なので期待してるんだけどな・・・。だってテンジンが手元にほしいもの!