義輝に狂った話
舞台「剣豪将軍義輝~星を継ぎし者たちへ~」千秋楽おめでとうございます。
キャスト・スタッフの皆様本当にお疲れ様でした。
まぁ驚くほどに夢中になりました。魅了されました。
1回だけ観に行くつもりだったはずが、2回もmy初日を前倒しして、それでも何の悔いもないほどの作品でした。
”染谷俊之”の名前を知っている人、一度でも彼を見たことのある人、すべての人に是非観てもらいたい舞台でした。
きっと彼の凄さに、生き様に、芝居に圧倒されるから。
「うち、菊さまの笑った顔が好き。波の光が、いちどにはじけて、天に昇ったみたい。」
舞台「剣豪将軍 義輝」前編での真羽の台詞です。
この台詞を聞いた瞬間、まるで雷に打たれたような思いでした。
何故なら今の私にとって染谷俊之が、染さまの笑顔が、まさにその通りだったから。
後編から舞台観に行くってハードル高くね?
染さま主演舞台の情報を入手したのはチケット一般発売目前。
是非見たい、けど歴史モノ作品の後編。かつ前編DVDが発売されるのは一般発売開始後。
日本史に限らず歴史に興味がいっっっっっっっさい無い自分にとってこれは賭けでした。
だってそもそも染さまの芝居が見足りない!満足できてない!っていう飢餓状態=お芝居が好きかどうかもわからない。
その中で前編DVDを買いつつ後編チケットを買うか否か。すっっっっごい悩んだ。いっぱい悩んだ。
一人でグズグズ悩めばいいものを友人に電話してまで相談に乗ってもらいました。大迷惑。
でも前編のDVDを見て、千秋楽のカーテンコールで涙する染さまの姿に号泣した時点で「あ、私いける」と思いました。
迎えた初日
DVDと生とで見ている違いはあれど、後編の方がずば抜けて面白かったです。
悪御所となられた義輝は「愛情深い人」という印象を抱きました。
パンフレットのインタビューで染さまが好きな台詞で上げていた「わしの宝を粗末にするな」。
鯉九郎の勝手な行動に対して言う言葉なのですが、その声色は決して叱責ではなく、鯉九郎・梅花に対して言い含める、柔らかい音なんですよね。
あれが家臣ではなく別の人間に対しての言葉であったならば、きっともっともっと強い叱責の声色だったと思う。
けれど、鯉九郎も梅花も義輝の宝だから。だから、あの声色だったのでしょう。
そういう声の出し方は今回すごく印象的でした。
染さまの声って決して大きく通る声ではないと思っているんですが(あくまで個人的な印象です)静止の声なんかはまさに鶴の一声、スッとその場の空気を貫いて鎮めてしまう。
一方で真波やお腹の子に対する声色は甘く、優しく、征夷大将軍としての公方様ではなく、菊さまの頃のままの甘やかな声色で、その差が義輝の強さと優しすぎる優しさを見事に表しているようでした。
あと個人的には暇乞いに訪れた伊勢とのシーンがすごく好きでした。
原作においては自分の命を狙い刺客を送りこんだのが伊勢だと思っている義輝が、伊勢にかける言葉、視線、空気感はとても落ち着いていて温かい。
『優しすぎる』その通りの人でした。
原作にあるシーンで、義輝の愛馬を信長が殺す描写があるんですが、その馬は実は既に3本の脚が折れていて走ることもままならない状態にあり、それを見抜いた信長は、義輝は優しすぎて愛したものを見捨てられない~的なことを言うのですが、うーんまさにそのとおりだなぁと。
弟の覚慶や伊勢に対する思いもそうだしね。
自分に仇なす存在であるとわかっていても、その人の幸福を、良い道に進んでくれることを願ってしまうんでしょうね。鬼若や熊鷹でも、だ。
それが義輝という公方様の弱点であり、魅力なのでしょう。
公演2日目にしてロスになる
舞台における◯◯ロスって千秋楽後もしくはmy楽後になるものだとばかり思っていました。
初日観終わって、客電ついても体の震えと涙と心のざわめきが止まらず、帰りの電車でも油断すると涙が溢れそうになり、帰宅して終演後中継を見て再び涙して…翌日まで放心状態が続きました。てゆーか廃人。
だめだ、待てない。このままあと1週間も空くなんて耐えられない。狂いそう。
ハイ、増やしました。王子と植ちゃんゲストのアフタートーク回。
でもそこでも一応私なりに悩みました。
何度も、何度でも観たいけれど、一回一回を大切に観たい…こんなパラドックス抱えてチケット増やしたの観劇人生10年ほどになりますが初めてですよ。義輝こわい。
『五月雨は露か涙か不如帰 我が名を遂げん 雲の上まで』
義輝の辞世の句です。
劇中では鯉九郎討ち死にの報せを聴き詠む句なのですが、正直まさかそのタイミングで詠まれるとは思っていませんでした。
でも原作では書かれていましたが、半ば鯉九郎のことをも込めての句だったのですね。
周嵩さまと小四郎のシーンから始まる家臣との別れ。毎公演、涙なくしては見られませんでした。
圧巻の100人斬り
そしてやはり、今回の最大の見せ場でしょう。
最期の大立ち回り。
足利家に伝わる銘刀9本を畳に刺し、銘刀1本1本の名前をあげ、「欲しゅうはないか」と敵勢を煽って斬りかかる。
実際、日本刀は一度斬るだけで刃こぼれするらしく、時代劇や立ち回りのある舞台で行われているような連続しての使用はほぼ無理だったとのこと。
刃こぼれだけでなく、人を斬れば血や脂で切れ味も落ちてくるし。
そこで義輝は9本の刀を持ち替えて切り結んでいく。
その立ち回りは、まさに圧巻。凄まじいとしか言いようがなかった。
次から次へと現れる敵、その数100人とも言われています。
対して義輝はただ一人。
一体何手あったのだろう、一体何分あったのだろう。
終演後、客電がついた後も震えが止まらなかったし、胸が痛み、動悸が止まらなかった。
立ち回りのある芝居を観たことのある人は、是非とも想像してみて欲しい。
自分の推しが1対100でひたすらに刀を振るう姿を。
そして戦って戦って…銃で撃たれて命を落とす様を。
武智さん鬼じゃないかとも思ったけど、同時にこんな素晴らしい染谷俊之の姿を見せてくださって本当に本当にありがとうございました。
とんでもない速さで手数で斬って斬って斬って、染さまの表情が抜け落ちるくらいに斬り続けているのに、熊鷹へかける声はひどく落ち着いていて表情は穏やかで…その緩急の付け方は流石でした。
染さまってコメディ・シリアス・アクション…etc.の緩急の付け方が抜群にいいんだなと気が付きました。
だから観ていて面白いし、もっともっと観てみたくなるんでしょうね。
正直、何のストレスもなく観れたかというと嘘になります。
あえて詳細は書かないけれど、初日は心配になったし、途中からは最早苛立ちだった。怒りしかなかった。
楽しみにしていた分、本当に残念だったし、悔しかった。
でもそれがあっても凄かったなと思ったのは、幕が開くまでその懸案事項を忘れていられたこと。
すっかり頭から抜け落ちてて、ただただ楽しみしかなかった。(幕が開いて登場で思い出して、一言目でガッカリするんだけど)
こんなにも「もう一回」を渇望する舞台は人生で初めてでした。
一日限定10個(マチソワだと5個)という超絶レアなブックカバーも2度目のチャレンジでギリッギリGETできました…!
※義輝が着ている衣裳の余り布で作っているため超希少
役者 染谷俊之を好きになったのが、この「剣豪将軍義輝」で本当に良かったです。
ありがとうございました。
感謝祭も楽しかったー!
立くんに金平糖をいただきました♡